【童話】コッフウのぼうけん

 「あぁ、つまらないなぁ」

 こふでのコッフウはふてくされていました。

 ふくふくでらの月山おしょうはおおふでのオッフウをにぎって、きょうも「ためになることば」をかいています。

 コッフウのしごとは、「ためになることば」のよこに「月山おしょう」となまえをかくことだけです。

 さっきからずっと、おしょうとオッフウが、「ためになることば」をかきおえるのをまっているのですが、なかなかおわりません。

「あっ、『気合』の合の口が、ゆがんでる」

 合の口は、にじんで ぼってりとしたてんにみえます。

 コッフウはほっぺをおだんごのようにふくらませ、オッフウにむかって「ブー」といきをふきかけました。

「こんな字のよこにかきたくないわ」

 それをきいたオッフウは

「なんだよ!コッフウは、月山おしょうのなまえだけかんがえていればいいんだよ!」

とこえをはりあげてしまい、ふたりは、口をきかなくなってしまいました。

 

 「おしょうさん、にがおえをかいてあげる」

 まごのアキちゃんが、すいせいえのぐセットをもって、おてらにやってきました。

 えのぐセットの中には、たくさんのえのぐやパレットがならんでいます。コッフウによくにた えふでたちもいます。コッフウは、「わぁ。すごい」
えのぐセットにかおをつっこんで、キョロキョロしていると、

「やぁ!!」

 アキちゃんの手にとられた えふでのエッピイが、コッフウにげんきよくあいさつしてくれました。アキちゃんは、エッピイを水でぬらして、白、赤、オレンジのえのぐをつけて、、、おしょうさんのかおをえがきはじめました。

 エッピィは、コッフウをチラチラみながら、白のえのぐをつけたまま
 ドボン!!

 赤のえのぐへとびこんでいきました。

「ほーら、ピンクのはだいろ、きれいだろう」

 じまんしながら、おしょうさんのはだをぬりこんでいます。すると、おしょうさんのはだが、さくらの花をさかせたように、あかるくなりました。

「なんてすてきなのー。わたしもはだいろ ぬってみたい!」

 こっふうは、目をかがやかせました。

「いいよ、おいでよ。おしえてあげる」

 エッピイがてまねきしています。コッフウはパレットにねそべり、エッピイのつくったはだいろをつけてみました。

 けれどもそのとき
「おい!コッ、コッフウ。なにしているんだよ!そこにいたらいけない!」
オッフウのさけびごえとともに

 バッタン!!

 きゅうにくらくなりました。アキちゃんが、
パレットをあらいもせずに、えのぐセットのかばんをとじてしまったのです。

「じゃぁ。おしょうさん。またくるね!」

えのぐセットがうごきます。

「えっ!どっ、どうしよう!」

 コッフウはパレットにはさまれながら、おどろいて、しんぞうをバクバクとさせました。

 くらいなかで、えふでやえのぐたちがおしゃべりをはじめました。

「きょうは、たのしかったね!」

「うん。でもつかれたー。けもぬけたし。あれ?くさくない?」

「うん、くさーい」

「くさい。くさい」

みんながさわぎはじめました。

コッフウは、
(えっ!もしかして、じぶんのことをいっているのかな?)
 えのぐセットのなかで、すみのふではコッフウひとり。すみのにおいがからだについているのでしょう。

「すみのかおりって、こころがやすらぐのよ」

 コッフウは、ちいさなこえでいってみました。
 けれどもみんなは

「くさいから、ここからでてってよ!」

 よこめでコッフウをにらんでいます。
 コッフウは、なみだをポロポロながしながら、目をつぶりました。

 


 ある日、えふでたちが、おひさまのかがやく空をかこうとしました。

 あおやみずいろ、しろのいろをつけて、えふでたちが、はしゃいでいました。コッフウもいっしょにぬろうとしましたが

「なんか くらくない?」

 コッフウがぬればぬるほど、くろがでてきてしまいます。
 えふでたちが、コッフウをにらみつけました。
(すみって、なかなかきえないなぁー)

 コッフウは、まがったくせのついたほうきみたいに、ぐーとくびをまげてためいきをつきました。

 エッピィは、そんなコッフウをみて、なんとかげんきにしようとおもいました。
(ぼくがじまんしたから、コッフウはここにきたのだし、、わるかったなぁ、、)

 エッピィは、えふでたちに

「ねぇ、みんな、このコッフウのかいてくれた くらいそらに、ほしをかけば すてきになるかもしれないよ。そうだ、よるにして、ほしをかこう!」

と、こえをかけ、みんなでほしをかきました。

 がようしのほしは、とてもよくひかります。
 エッピィは

「このほしがかがやくのは、コッフウのかいたそらのおかげだね」

とかんしんしたようにいいました。えふでたちもかおをみあわせて、うなずきます。

「コッフウって、すごいんだね!」
 えふでたちは、すこしすみのでるコッフウをほめてくれました。

 


 けれどもえふでになりたいコッフウは、
すみのいろをおとしたくて、なんども水にくぐりました。すこしずつ いろをおとしつつ、エッピィから 

 「空やうみをかくときは、こころのそこから空をとびたい、うみでおよぎたいっておもうんだ。ただかいているだけじゃだめさ」

と、えをかくこころもおそわりました。

 やがてコッフウは、空やうみをかけるようになり、白をつかっても、くろのまじったはいいろにならなくなりました。

 ピチャ!

 アキちゃんの手といっしょに、まっ白なくもをえがきます。タンポポわたげのような かるいくも。こっふうは、けさきに力をグィとこめて、クル、クルンといろをつけます。ほら、くもがふわふわまっているようなえがかけました。 
 えふでたちも、がんばっているこっふうのかたをたたいて はげましてくれるようになりました。


「おじいちゃん、また にがおえをかいてあげる」

 コッフウたちは、アキちゃんにつれられて、おてらにやってきました。
 おこうとすみのにおいがただよっているおどう。

 おどうのはじのつくえには、そこには、おおふでのオッフウと、あたらしいこふでがいました。

「ふっふっふっ。このとろけちゃうような白。どう思うかしら」

 コッフウは、じまんしたくなりました。
 シュッ、シュッ、シュッ。

 にがおえのバックは、青い空。その空の上に、コッフウは、マシュマロのような白いくもをのせました。はばたくように、、、。

 コッフウは、しゅうじのふでをチラチラみながら、
「わたしはよくここまできたなぁ。たいへんだったなぁ」
とためいきをつきました。

 


 おおふでのオッフウと、しんいりのこふでは、じぃーと、こっふうをみてから

「ふーん。ふーん」

と、口をへの字にしていいます。コッフウはじっとしていられず

「すごいでしょう。すごいでしょう」
と、こふでにはなしかけました。けれどもこふでは
「ふーーーん」
とだけ。

「よくみていた?この青をだすの、たいへんだったよ」

こふでは、あくびをしながら

「ふぁーん」

「うらやましいとおもわない?」

コッフウは、しつこくききます。

「うううん」

「えっ、でもさ、たくさんのいろがつかえるよ」

「すみだって、うすいいろ、こいいろ、たくさんのいろがあるよ」

「ん、ん?」

「ぼくはすみいろだけでいい。それにぼくのしごとは、とめ、はね。もじをかくことがだいすきなんだ」

 こふでは、しゅうじがとてもきにいっているようでした。

 コッフウは、こふでにいわれて、うまくかけてうれしかったことをおもいだしました。
(シュッとかいて、はね。きもちよかった。こいいろからかすれまでいろいろだせたなぁ)

 

「あれ?これは、わたしのふででは?ここにあったのか」

 月山おしょうが、アキちゃんのパレットの上にいるコッフウをとりあげました。

 アキちゃんはかおをゆがめながら

「ごめんなさい、おじいちゃんのふでと きがついたのだけど、すごく えが かきやすい ふでね。ついつい つかっちゃった。ありがとう」

あやまりました。

 月山おしょうは、コッフウをもって、シュッシュッ、サッサッサッーと、はんしに山をかきました。

「ほんとうだ。かきやすい。わたしのおきにいりだったのだけど、なまえをかくより、えが いいぞ。かえさなくていいから、これですいぼくが をかいてみなさい。よい えが かけるよ」

 コッフウは、水のりょうとすみのこさで、たくさんのグレーをつくりました。

くろとグレーのあいだにできる すうせんの グレーをかくのはおもしろくて、つぎからつぎとさくひんがうまれていきます。

 


 ある日、1まいのはがきがとどきました。

それは、コッフウとあきちゃんがかいた すいぼくがの おしょうさんのかおが、『しょうがくせいすみえコンクール』でたいしょうをとったしらせでした。

 えふでのなかまも、しゅうじのふでたちも

「すっごーい」

「さすが、うまいものね」

といいながら、まぶしそうに コッフウをみつめました。

 おしょうさんも

「これはわたしにそっくりじゃないか。すばらしい!!」

とおおきなこえで ほめてくれました。

 コッフウはまゆげをあげて、すこしてれながら ほほえみました。

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