【絵本】 おちゃ どうぞ

 おちゃ どうぞ

                                常田メロン

 こうこちゃんは、でんしゃの こうこくです。

おちゃのせんでんの おしごとをしています。

 

 そんな こうこちゃん さいきん すきなひとができました。

 だいこんざつの でんしゃのなかでも

ほら みつけられます。

 だって わたしのまえで かならずたって、わたしを みるのだもの。

 いつもいつも わたしのまえで たっている かれ。

 あまりに みつめられるので、

「わたしのこと、すきなのだわー」

とおもっていました。

きょうも こうこちゃんをみています。

こうこちゃんは、

「かれは、わたしのこと すきなのね。でも、あとどれくらい かれをみられるかしら」

とおもいました。

 

だって、はがれちゃったら、あえなくなってしまいます。

 

せめて、はがされるまえに

「わたしも『きになってます』とつたえられたらいいな。そしてデートとか できたらいいな」

とむねをキュンとさせました。

 

そして ついつい でした。

でんしゃが おおきくゆれたとき、こころもおおきくはずんでしまい

「すき です」

と、しゃべってしまいました。

あせる あせる こうこちゃん。

しかし あせることは、なかったのでした。

だって こうこちゃんの もっていることばは、おちゃどうぞ だけです。

つまり はなせたことばは、おちゃどうぞ だけだったのですもの。

「えっ」

かれは おどろいて こうこちゃんをみつめました。

そして おおきくうなずき、えきにおりてしまいました。

「あぁー」

きっとこうこちゃんのこえをきいて、

「おちゃがのみたい」

とおもってしまったことでしょう。

 

かれは、ばいてんにはしりました。

 

「あぁー」

「おちゃをかおう」とおもったことでしょう。

「あぁー、こくはくするはずだったのにぃ」

 

しかし もしかすると、、、

これで よかったのかも しれません。

こうこちゃんは、おちゃの せんでんをして、かってもらうことが おしごとなのですから。

 

かれは、ばいてんのおねえさんから おちゃを かっていました。

そして

「すきです」

あれ?どこかで きいたことばです。

じつは、かれ

こうこちゃんの ことばをきいていたのです。

こうこちゃんに いわれて けっしんが かたまり かたおもいの ばいてんのおねえさんに おもいを こくはくしたのでした。

 

ばいてんの おねえさんは、すごくうれしそうに うなずきました。

「おちゃどうぞ」